こんにちは。アメリカで経済学PhD留学中のたなぱんだです。
今日は、アメリカでの飲み水について、次のような疑問に答えていきます!
- アメリカの水道水って飲めるの?
- アメリカの水の硬さは?
- purified water とか distilled water とか色々な種類の水が売ってるけど、どれを買えばいいの?
疑問1:アメリカの水道水って飲めるの?
結論:飲めます。ただし、そのまま飲むのはお勧めしない。
アメリカの水道水(Tap Water)に関しては、全米レベルの法律である安全飲料水法(Safe Drinking Water Act)で約500項目の水質基準が定められています。これは、日本の水質基準(51項目)と比べても非常に厳しいものです。
それなら飲んでも安全なんじゃないの?
と思われるでしょうし、実際「コップ一杯の水道水を飲んで病気になる」といったようなレベルの危険性は全くないです。
しかし、500項目の水質基準をテストするのは浄水場内です。そこから家やホテルの蛇口まで水道管を通ってきます。これらの水道管が綺麗である保証はないです。地域にもよると思いますが、アメリカのアパート等は日本と比べても古いものが多く(平気で築100年とかあります)、水道管も劣化している可能性が高いです。
もちろん100年前の水道管をそのまま使っているなんてことは無いですが、それなりに古いのが当たり前だと思います。
対処法:浄水器を使いましょう
水道水を利用する場合には、浄水器で不純物を取り除いて使用した方がいいとも思います。
アメリカでは浄水器(water filter)が広く浸透していて、Brita というブランドの商品が特に有名です。浄水器の形状も様々で、ピッチャー型や蛇口に取り付けるもの、卓上のタンクなどがあります。
ピッチャー型や卓上型は、使う前に水を溜めておく必要があるので、若干手間がかかります。蛇口に浄水器を取り付けられると便利ですが、蛇口の形状によっては取り付けできないこともあるので注意してください。
ファミリーサイズの大型の冷蔵庫には、自動浄水器が付属しているものもありますが、学生向けのアパートなどについている冷蔵庫には付いていないと思います。
疑問2:アメリカの水の硬さは?
結論:地域によって違う
日本では、多くの地域で水道水は軟水となっており、水に含まれるミネラル量が少ないです。
一方、アメリカの水道水の硬度は、地域によって大きく異なります。大まかに言えば、東海岸・西海岸に位置する州では軟水、内陸部の州は硬水です。特に山岳地域の州(ユタ州とかコロラド州とか)では超硬水になります。
以下のサイトで zip コード(アメリカの郵便番号)を入力すれば、その地域の水道水の硬度を確認できます。
疑問3:色々な種類の水が売ってるけど、どれを買えばいいの?
アメリカのスーパーに行くと、Purified water や Spring water、Distilled water など様々な種類の水が売られています。果たしてどれを買ったらいいでしょうか?
結論から言います。
飲料用には Spring water、調理用には Purified water が無難。ただし、最終的には「好み」です。
ただし、日本でいう「精製水」として使うなら Distilled water を使いましょう。
以下では、種類別に特徴などを解説していきます。
Spring Water (湧水) / Mineral Water (ミネラル・ウォーター)
Spring water や Mineral water として売られている水は、自然の湧水を採水し、ボトルに詰めたものです。厳密に言えば、Mineral water は 「Spring water のうち、一定以上のミネラル分を含むもの」を指すので、主に硬水になります。
日本で言えば、コカ・コーラの「いろはす」やサントリーの「天然水」のようなものです。
ブランドとしては、Evian や FIJI、Crystal Geyserなどがあります。また、ネスレ社やその関連会社が販売している spring water は地域によって商品名が異なります(Arrowhead、Deer Park、Poland Spring、Ice Mountain、Ozarka、Zephyrhill)。
天然の水なので、採水地の違いでミネラルの含有量が異なり、味のバラエティも豊富です。水の味を楽しみたい場合には、Spring water を買うのがいいでしょう。
一方で、硬度が特に高い水は独特の風味があるため、コーヒーやお茶を出すのには向いていなかったり、和食を作るのにも向いていません。
Purified water(精製水) / Filtered water(濾過水)
Purified water や Filtered water として売られている水は、カーボンフィルターなどの人工的な濾過装置を使って、水道水や地下水から不純物を取り除いた水です。商品によっては単に Drinking water(飲料水)として売っているものもあります。
言葉の定義上は、Filtered water(濾過水)と後で紹介する Distilled water(蒸留水)を合わせて Purified water(精製水)と呼ぶのが正確です。
しかし実際問題としては、Purified water = Filtered water として売られています。
濾過する過程でミネラル分も落ちるので、味としてはイマイチと感じる商品も多いです。ただ、その分、天然水に比べると柔らかな水が多いので、調理用としては使いやすいです。
また、ここで紹介している様々な水の種類の中で一番ベーシックな種類なため、どこのスーパーでも扱っていて、値段も安いです。
Costco や Sam’s Club などの倉庫型格安スーパーに行くと、500ml × 40本のパックが約4ドルで売ってたりします。
ブランドはたくさんあるのですが、大手メーカーの商品としては DASANI(コカ・コーラ社)、Aquafina(ペプシコ社)、Pure Life(ネスレ社)があります。
Alkaline water(アルカリイオン水)
Alkaline water は、purified water(filtered water)を電気分解して作られる ph 9〜10程度の弱アルカリ性の水です。近年、日本でも「アルカリイオン水」や「電解水素水」という名前で浸透していると思います。
Alkaline water は、消化不良や便秘・下痢を直すなど胃腸症状の改善に効果があるようです。また、料理につかうと、お米がふっくら炊けたり、野菜が柔らかく茹でられたりと、普通の水よりも美味しく仕上がる…らしいです。
デメリットとしては、purified water(filtered water)や spring water と比べて値段が高いことが挙げられます。例えば、Costco や Sam’s Club のプライベートブランド品で、1リットル×18本パックで10ドル強です。purified water と比べると、1リットルあたりで3倍くらいの値段です。
Essentia などのブランド品だとその2〜3倍の値段です
Distilled water(蒸留水)
Distilled water として売られている水は、水を沸騰させて発生する水蒸気を集め、それを冷やして液体に戻したもの(=蒸留した水)です。
人工的に不純物を取り除いた水という意味では、filtered water と同じですが、不純物の取り除き方が異なります。濾過より蒸留の方が、より純粋な「水」を取り出すことができるので、filtered water より distilled water の方が水の純度が高くなります。
「純度が高い水を飲むと体内から電解質が溶け出してしまう」という考え方に基づいて「Distilled water は飲料用ではない」と説明されることもありますが、市販されている程度の Distilled water を飲んでも問題はないです(例えばこのサイトなどで説明されています)。
実際、スーパーによっては、Distilled water を食料品売り場に陳列していたり、粉ミルクを溶かす用の水として売っているところもあります。
ただ、蒸留の過程でミネラル分が抜けてしまっているので Distilled water をそのまま飲んでも美味しくはないです…。
スチームアイロンや美容機器、加湿器、車の冷却装置など水を蒸発させるタイプの機器に対しては、Distilled waterを使うのが良いです。
これらの製品に水道水やミネラルウォーターを使うと、機器の中にミネラル分などが残ってしまい、汚れやカビの原因になります。
多くのエリアで、日本よりも水が硬い(ミネラル分が多い)アメリカでは一層気をつけた方がいいと思います。
Nursery water(育児用水)
その名のとおり、乳幼児の粉ミルクや離乳食を作るのに向いた水です。お店によっては「Baby drinking water」や「Infant drinking water」などの名前で売られている場合もあります。
一般的には、Nursery water は、Distilled water + 多少のミネラル分という形で作られます。
多少ミネラルの含有量が異なる程度なので、粉ミルクや離乳食を Purified (Filtered) water や Distilled water で作っても基本的には問題はないです。私も娘が利用する小児科の先生から、そのように指導を受けました。
ただし、粉ミルクのみで授乳している場合、Distilled water ばかり使うとミネラル不足になる可能性があるので、Distilled water しか使わないのは避けるべきのようです。
Nursery water を購入する場合は、「with Fluoride(フッ化物入り)」と「without Fluoride(フッ化物抜き)」の2種類があります。フッ化物は、適度に摂取すれば虫歯を予防する効果があると分かっています。
アメリカの水道水には、国民の健康増進目的でフッ化物が添加されています。
どちらを使うかは好みだと思いますが、我が家では「赤ちゃんの歯が生える前は “withour Fluoride” を使い、歯が生えてきたら “with Fluoride” に変える」という形で使い分けました。
まとめ
この記事ではアメリカの水事情について紹介してきました。
アメリカでは、どの地域でも水道水を直接飲むことができますが、家庭では浄水器を使うのが一般的です。また、水の硬さは地域によって大きく異なります。
アメリカで市販されているボトル入りの水を選ぶ際は、
- そのまま飲む用 → Spring water、(好みや予算により)Alkaline water
- 調理用 → Purified water、(好みや予算により)Alkaline water
- 赤ちゃん用 → Nursery water
- スチームアイロン等の蒸気を出す機器に使用 → Distilled water
というのが一つの目安です。もちろん、味の好みは人それぞれ違いますし、いちいち目的別に水を使い分けるのが面倒くさければ、どれか1種類に統一してしまうのでも良いと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
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