タイトルの付け方がおしゃれ or おもしろい経済学の論文をリスト化したものです。
「タイトルがおしゃれ or おもしろいかどうか」だけが審査基準なので、論文の内容に対する賛同・推薦等を示すものではないです。
研究の息抜きに不定期更新してます。
ここに仲間入りできるようなセンス溢れるタイトルの論文を書くのが、僕の研究者人生のささやかな夢の1つだったりします。
僕が目にしたことがある範囲からの選抜なので、他にもいいタイトルの論文があれば適宜の方法で教えてください!随時更新します。
Star Wars: The Empirics Strike Back
Star Wars: The Empire Strikes Back(邦題『スターウォーズ:帝国の逆襲』)のもじりです。
実証分析する際に、係数が統計学的に有意だとアスタリスク(*、一般に「スター」と呼ぶ)をつけるという慣習があります。このスターが目につきやすいせいで、「係数が有意でないことを示す形の検定」よりも「係数が有意であることを示す形の検定」を使っている研究の方が学術雑誌で出版されやすいというバイアスがあるそうです。
さらにこの論文では、経済学の一流学術誌に掲載された過去の実証研究を結果を集計し、ギリギリ統計学的に有意(スターが付く)な分析の数が不自然に多いことを提示し、研究者が星をつける(係数を有意にする)ために好ましくない操作を行なっている可能性を指摘しています(これを「Star Wars」と呼んでいる)。
ちなみに、この論文が発表されている American Economic Journal: Applied Economics の出版元である American Economic Association では、有意水準を表す目的で「*」をつけることを禁止しています。
Japan’s Phillips Curve Looks Like Japan
僕がタイトルを見て笑い声を上げてしまった経済論文は、後にも先にもこれだけです笑
Publish 版が見開き1ページしかないのにも笑いましたし、出てくる散布図が確かに日本列島に見えるのにも笑いました。
Yes, r > g, so what?
2014年にトマ・ピケティの著書『21世紀の資本』の英語版が発売され、アメリカで大ヒットした中で書かれた論文。『21世紀の資本』の主張は、「超長期のデータを見ると、資本収益率(r)は経済成長率(g)よりも大きく、富が資本家に蓄積される姿となっている」というもの。
これに対するマンキューの応答は、このタイトルのとおり「うん、r は g より大きいね。だから何?」だ。
切れ味最強の煽り具合である。マクロ経済学の巨匠じゃないと書けないタイトルだ。
話は脱線するが、マンキューの煽り癖が現れている論文は他にもある。
MMT(現代貨幣理論)が騒がれたことを受けて、”A Skeptic’s Guide to Modern Monetary Theory” という論文を書き、その中でMMTのことを「一流大学の著名な経済学者が最先端のマクロ経済理論について議論するなかで生まれてきたような名前をしているが、実際にはそうではない」と評しています。(ただし、論文中ではMMT論者の主張に一定の理解を示している。)
繰り返しになりますが、ここではマンキューの煽り性能の高さを紹介しているだけで、特に内容に関する価値判断はしていないです。なので、何か支障がありましたら僕ではなくマンキューに連絡してください。ご理解のほどよろしくお願いいたします。
Some Unpleasant Monetarist Arithmetic
日本語に訳すと「マネタリストの不愉快な算術」です。ミステリ小説やSF小説っぽい雰囲気があってかっこいいです。
なんとなく厨二心もくすぐられる響きで気に入っています。
でもまあ、邪気眼を持たないあなた方には、理解できないでしょうね……ん、ぐはっ、この論文に共鳴しているのか?……俺の右腕が。…うっ…くそぅ、鎮まれよ……!! この記事を書き終えるまでは……闇の力を開放するわけにはいかないんだっ……!! 組織の仕業なのか……? いや……あいつらは漆黒神竜(ダーク・ゴッド・ドラゴン)の攻撃を受けて再起不能のはず……?
とまあ、不愉快な厨二設定はこの辺にしておきまして…。経済学ではめちゃくちゃ有名な論文なので、このタイトルをもじった論文もあったりします。
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